2度目のヴァナディール ソロ活動中の妄想屋クルクと仲間達。
やっぴ~、クルクです(・▽・)ノ

「 Captivity 」 の第4話です。
今回は、チリちゃん視点です。
ちょっと長くなっちゃった。


* 「 Captivity 」 1.Lost Day's(1)
* 「 Captivity 」 2.パール
* 「 Captivity 」 3.空耳




Klu3252.jpg

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ごきげんよう、チリですわ。

うずらちゃんが体調を崩してしまって、今日はお店をお休みすることになりましたの。
「1日寝てれば治るわよ」 ってうずらちゃんは言いましたけど、私は後でミルク粥を作りに行くと約束しました。
それでミルク粥の材料をモグに揃えてもらっていたら、肝心のミルクがありませんでしたの。
そう言えば昨日、モグがミルクがないと言っていましたわね。
他の材料はうずらちゃんのモグハへ送ってもらうことにして、私はミルクを買いに出かけました。


南サンドリアにあるレンブロワ食料品店は、品揃えが豊富で、いつも新鮮な食料品を扱ってくださっています。
ですから私もうずらちゃんも、食料の買い物はたいていレンブロワ食料品店でしていますの。
いつもでしたらゆっくりと店内を見て回ったり、珍しい食品の調理法などを聞いたりするのですが、今日はそうもしていられませんわ。
私は、ミルクと入荷したばかりだという妖精のリンゴを買い、レンブロワさんに挨拶をしてお店を出ました。

「あれ、チリさん」

突然声をかけられて、私は顔を上げました。
目の前に立っていたのは、黒髪を後頭部で1つに結んだ、エルヴァーンの男性でした。
私はドキッというより、ビクッとしてしまいました。

その方は、最近よくお店にいらっしゃるお客様ですの。
お名前は確か、ヴォルフィさんとおっしゃいましたかしら。
ここ数日は、毎日のように同じ時間にいらっしゃいます。
いつもカウンターの真ん中の席にお座りになり、静かにお酒をお召し上がりになっていらっしゃいます。
そして優しそうな笑顔で、私に話しかけてくるのです。
うずらちゃんは初め、「感じのいい人ね」 と言っていました。
ですけれど、私はその方が苦手なのです。
どこがどうということはなく、ただ漠然と・・・。
そんな私を察したのでしょうか、うずらちゃんが 「嫌なら嫌ってハッキリ言うのよ」 とアドバイスをしてくれましたの。
ですけれど、特にしつこく誘われているわけでもありませんし、嫌と言う程のことは何もされていないので、もう来ないでほしいとは言えないのです。
ですから、うずらちゃんにはとても申し訳ありませんけれど、今日のお休みはホッとしていたのです。
ですのに、まさかこんな所でお会いしてしまうなんて・・・。

「奇遇ですね。お店の買い物ですか?」
「いえ、これは違いますわ」

私は笑顔を努めてお答えしてから、今日はお店がお休みであるということを、うずらちゃんのことは告げずにお伝えしましたの。

「そうですか、残念ですね」
「申し訳ございません」
「いや、ここでチリさんに会えてよかったです」
「・・・・・・」
「ですけれど、女性二人では大変なこともあるでしょう? 力仕事などあったら、ぜひお手伝いさせてください」
「いえ、お客様にそんな・・・」
「あ、馴れ馴れしいことを言ってすみません。でも、もしも困ったことがあったら、遠慮なく僕に言ってくださいね」
「有難うございます」

その方は、それ以上のことはおっしゃらず、控え目な笑顔を見せて、私とは反対方向へと歩いて行きました。
いったい私は、あの方のどこが苦手なのでしょう?
以前うずらちゃんから、「チリちゃんは、自分から好きになった人じゃないとダメなんじゃない?」 と言われたことがありました。
そうなのかもしれませんわね。
私はホッと一息つき、うずらちゃんのモグハへと向かいました。


チャイムを鳴らすと、モグが出迎えてくれました。
うずらちゃんの容態を聞くと、モグは 「寝てるはずクポ」 と言って、私を中へ入れてくれましたの。
キッチンへ行くと、私が送った食料が並べられておりました。
私は買ってきたミルクとリンゴを置き、持ってきたエプロンを着けました。
そして、うずらちゃんの寝室へ行き、軽くノックをして 「うずらちゃん、チリですわ」 と言いながら、ドアを開けたのです。

「具合は・・・うずらちゃん!?」

私はビックリしてしまいました。
だって、うずらちゃんが床に倒れていたんですもの!

「うずらちゃん!」
「どうしたクポ~? ・・・クポッ!? ご、ご主人さまは、どうして床で寝ているクポ!?」
「モグ、うずらちゃんをベッドに運びましょう!」
「クポッ!」

しかし、非力な私たちでは、うずらちゃんを抱き起こすことは出来ても、ベッドへ運ぶことが出来ません。

「モグ、兄様のモグハへ連絡をしてください」
「わかったクポ!」

私はうずらちゃんを膝に抱いたまま床に座り、すぐに来てくださるように、兄様にお願いいたしました。
すると兄様はすぐに来てくださって、うずらちゃんをベッドまで運んでくださったのです。
そのまま兄様にはうずらちゃんについていていただいて、私はモグハを飛び出しました。
私が向かったのは猟犬横丁にお住いの、病や薬に詳しいアモーラさんというお年を召した女性の家でした。
私がうずらちゃんの症状をお話しすると、アモーラさんは頷いて 「大丈夫」 とおっしゃってくださいました。
そして薬草を煎じてくださり、処方のし方を教わり、私はモグハへと急いで戻ったのです。


「戻りましたわ」
「お帰りなさいクポ。梅さんは、ついさっき帰っちゃったクポ」
「まぁ! 兄様ったら、薄情ですわ! うずらちゃんが心配じゃないのかしら」

私は自分が兄様をサンドリアへ呼び出してしまったことも、それなのに兄様がすぐに来てくださったことも棚に上げて、プリプリしながらうずらちゃんの寝室へ向かいました。
私はベッドに近づき、眠っているうずらちゃんの頬に手の甲を当ててみました。
やはり熱いですわ。

「うずらちゃん、お薬を飲みましょう」

そっと声をかけてみると、うずらちゃんが目を開きました。
大儀そうに瞬きをして私を見ると、「チリちゃんだったのね」 と呟いたのです。

「何がですの?」
「・・・ううん・・・夢を見ていただけ・・・それ、苦いの?」
「後でリンゴジュースを作ってさしあげますわ」
「・・・苦いのね」

うずらちゃんは上半身を起こして私の手から煎じ薬を飲むと、「ぴよが作ったスープより不味いわ」 と顔をしかめました。

「もう少しお休みになって。次に目が覚めた時は、きっとお腹が空いていますわよ。ミルク粥を作っておきますわね」
「ありがとう、チリちゃん。チリちゃんのミルク粥、あたし好きよ」

うずらちゃんはそう言ってくださって、ベッドに横になると、また眠ってしまいました。


私はミルク粥とリンゴジュースを作り終えると、居間でモグとおしゃべりをして過ごしました。
何度かうずらちゃんの様子を見に寝室へ行きましたが、アモーラさんの煎じ薬が効いたのか、うずらちゃんはぐっすりと眠っていました。
私は心配でしたので、今夜はうずらちゃんのモグハに泊めてもらうことにしました。


翌朝、うずらちゃんは 「お腹が空いたわ~」 と言って起きてきました。
そして温め直したミルク粥をペロリと平らげ、まだ足りなさそうにスプーンを手にしています。

「いきなりたくさん食べたら、体によくありませんわ」
「でも、まだまだ食べられるわよ」
「お薬を飲んでからにしましょう」
「それ、マズイんだもの」
「良薬は口に苦し、ですわよ」

うずらちゃんは渋々薬湯が入ったカップに口をつけ、「うえ~」 と舌を出しています。
それから私が差し出したリンゴジュースを飲み干すと、やっとスプーンを置きました。

「食欲がなくなったわ」
「食べ過ぎにならなくて、よかったですわ」

その時、モグの通信が鳴りました。
それは私のモグからで、サンラーさんから遊びに行ってもいいかと連絡があったというものでした。
うずらちゃんはもう大丈夫そうですし、私はお昼過ぎにいらしていただくようにモグに伝えました。
後はモグにお任せすることにして、うずらちゃんには今日1日ゆっくり休むように言って、私は自分のモグハへと帰りました。

モグハへ戻った私は、まずお風呂に入り、着替えてから軽く食事をいたしました。
それから、お茶とお菓子の用意をして、サンラーさんをお待ちしていたのです。


「サンラーさん、遅いクポね」
「そうですわね・・・。何か急用でいらっしゃれなくなったのかしら?」
「サンラーさんなら、連絡してくるはずクポ」
「そうですわよね」

お昼をすぎてから、もうずいぶん時間が経っておりました。
もう少しすれば、夕方になってしまいます。
私は兄様のモグハに連絡をしてみることにしました。

『クップ~。チリさん、どうしたクポ?』
「あの、サンラーさんはいらっしゃいますか?」
『クポ? チリさんのモグハに行ったクポよ』
「え・・・それはいつですの?」
『行ってないのか?』
「兄様。サンラーさんが出かけたのは、どのくらい前ですの?」
『昼過ぎに出て行ったが・・・』

もしかしたら、どこかでお買い物をしているのでは?
・・・にしては、遅すぎますわ。
あるいは、お店の方に行ってしまったとか?
サンラーさんでは考えにくいことですが、私はお店を見て来ると告げて、通信を切りました。


私はランコントルまで走り、表のドアを確かめました。
もちろん、カギがかかっております。
裏口へ回り、取っ手を握った時です。

「・・・開いてる・・・?」

そんなはずはありません。
一昨日の夜、確かにカギを閉めました。
そして昨日は、お店へ行っていません。
ですが、ドアノブが回ったのです。
私はそっと、ドアを開きました。

「どなたかいらっしゃるの?」

ドアは開けたまま、私は中へ入って行きました。
人の気配はありません。
ですが、必ず整えておく椅子の位置が、ずれているのです。
私は裏口にあったモップを掴み、お店の様子を調べることにしました。
入り口近くにあるビューローには、小さなレジスターを置いています。
中は空っぽですが、これはうずらちゃんが毎日ギルを持ち帰っているからです。
カウンターの上には、ランプと飾り籠に入れた果物、それからクリスタル製のお花があるだけで、特に変わったことはありません。
ですが、カウンターの後ろにある棚の中が乱れていました。
棚の中にある酒瓶やグラスは、私が並べているので、少しでも位置が変わっていればすぐにわかります。
店の奥にある小さな控え室でも、机の引き出しを開けてみれば、伝票などの書類が上下逆さになっていました。
権利書や契約書などの重要な書類は、全てうずらちゃんのモグハにあります。
なくなっている物はないように思いますが、誰かが忍び込んだことは、もはや明確です。

どうしましょう・・・。
どうすればいいんでしょう・・・!?
まずは・・・まずは・・・うずらちゃんに報告しなくては!
それと、サンラーさんがお店にもいなかったことを、兄様にお知らせしないと!
私は裏口のドアにカギをかけ、うずらちゃんのモグハへ走り出したのです。


チャイムを鳴らし名前を告げると、すぐにうずらちゃんがドアを開けてくれました。
具合を尋ねると、「あたしのことはどうでもいいわ」 と早口で言い、そして 「サンちゃんがいないって本当?」 と言ったのです。

「兄様から連絡がありまして?」
「黒糖さんから聞いたのよ」
「今、お店を見て来たんですけど、誰かが入った形跡がありましたの」
「え!?」
「サンラーさんはいませんでしたわ。兄様にお伝えしてもよろしい?」
「もちろんよ。モグ、梅ちゃんとこに繋いで」
「クポ!」

うずらちゃんのモグが通信を始めると、すぐに兄様のモグが応答しました。

「チリですわ。兄様はいらっしゃる?」
『ご主人さまは、ガードの所に行ってるクポ。サンドリアのガードの所には、クルクさんが今行ってるはずクポ』
「お店には、やはりいらっしゃらなかったわ」
『クポォ・・・。ユウレイに呼ばれちゃったのかもしれないクポ。モグのせいクポ』
「幽霊? どういうことですの?」
『ご主人さまが持っていたシグナルパールを見つけちゃったクポ。きっと、死んじゃった相棒の形見クポ。モグがサンラーさんに付けて、コールさせちゃったクポ。だから、ユウレイがサンラーさんを連れ去っちゃったのクポ・・・』
「バカなこと言わないで」
「うずらちゃん・・・?」
「それで、梅ちゃんのシグナルパールは? 今、サンちゃんが持ってるのね?」
『クポ・・・』
「また連絡するわ」

そう言ってモグ通信を切ると、うずらちゃんは慌てて寝室へと入って行きます。
私もうずらちゃんについて寝室へ行くと、うずらちゃんは何か探し物をしているようです。
キャビネットの引き出しを開け、閉め、それからキョロキョロと辺りを見回しています。
そして、床に置いてあった小さな木の箱を見つけ、フタを開けると 「ないわ」 と呟きました。
それからベッドへ行き、枕元で目当ての物を見つけたようです。

「それって・・・」
「・・・空耳かと思ってたんだけど、鳴ってたのね」

うずらちゃんの手の中にあったのは、丸くて綺麗な白色をした、シグナルパールでした。
覗き込んだ私に 「梅ちゃんがサンドリアを出る時にくれたの」 と、うずらちゃんが説明をしてくれました。
そして 「初めてつけるわ」 と言いながら、右耳に装着したのです。

うずらちゃんと兄様が対になったシグナルパールを持っていたことに、私は少し驚きました。
そのことに嫉妬を感じなかったと言えば、嘘になります。
・・・どちらに対して・・・?
けれどもそれと同時に、なぜだか嬉しい気持ちにもなったのです。
どうして今までつけていなかったのでしょう?
うずらちゃんの本当の心は、どこにあるのでしょう?
あぁ、聞きたいことはたくさんありますわ。
ですけれど、今はそれどころではありません。
耳に手を当てて祈るように目を閉じていたうずらちゃんが、ハッと目を開きました。

「・・・サンちゃん? サンちゃんなの!?」

私とモグが見つめる中、うずらちゃんはもう一度 「サンちゃん? 聞こえてる?」 と呼びかけました。
そして、ハッキリとした応答があったのでしょう。

「やっぱりサンちゃんなのね!? ねぇ、どこにいるの!?」

よかった、とホッと息をつく間もなく、うずらちゃんの声が緊迫しました。

「サンちゃん!? どしたの!? サンちゃん!?」
「うずらちゃん・・・?」
「どうしたクポ?」

耳に手を当てたまま、うずらちゃんが私達を見て首を振りました。
何があったのかと訊こうとした時、うずらちゃんの表情が険しくなりました。
そして探るような声で、「・・・誰?」 と言ったのです。
その場の緊張が高まります。
息を殺すとは、まさにこのことですわ。
私は息を止めて、じっとうずらちゃんを見つめていました。
すると突然、うずらちゃんが叫びました。

「なっ・・・ちょっと! 待ちなさいよ!」
「ど、どうしましたの?」
「ご主人さま・・・何があったクポ?」

うずらちゃんはしばらく厳しい表情で黙ったままでしたが、顔を上げると 「何でもないわ、大丈夫よ」 と言いました。
けれども表情はこわばっていて、決して大丈夫とは思えません。
それにサンラーさんは、どうしたというのでしょう?

「チリちゃん、お店に行くわ」
「え・・・? え!?」
「ご主人様、サンラーさんはどうなったクポ?」

戸惑う私たちを残して、うずらちゃんはモグハを出て行ってしまいました。
もちろん、私もすぐに後を追いましたわ。
早足で歩くうずらちゃんに追いつくと、私が声をかける前に、うずらちゃんが口を開きました。

「サンちゃん、助けてって言ってたの」
「えっ!?」
「誰かと一緒にいるみたいだったわ。女よ」
「・・・・・・」
「あたしのことを知ってるみたいだった」
「うずらちゃんのことを?」
「でも、あたしには心当たりのない声だったわ」
「・・・それで・・・?」

うずらちゃんが足を止め、私を見上げました。

「その女が言ったの。サンちゃん・・・たった今死んだって」
「・・・!!」

そんな!
悲鳴を上げてしまいそうになった私の手を、うずらちゃんがギュッと握りました。

「ダメよ、チリちゃん。あたしたち、それを見ていないわ。だから、言われたままを信じちゃダメ」
「そ、そうですわね・・・」
「・・・相手はあたしのことを知ってる。何が目的なのか知らないけど、これで終わりってことはないはずよ」

再び歩き出し、私達はランコントルへと着きました。
表のドアのカギを開けて中へ入ると、ランプを灯します。
グルリと見て回り、うずらちゃんが 「何を探していたのかしら?」 と言いました。
ギルは1ギルも置いていませんでしたけど、金目のものが目当てでしたら、高級なお酒が棚に並んでいます。
けれども、なくなっている物は何もないのです。

「チリちゃん、悪いんだけど、ぴよをお店に呼んでくれるかしら?」
「ぴよさんですか?」
「サンちゃんのことは知ってるはずだから、もしグズグズ言ったら、非協力的だって梅ちゃんに言いつけるって言ってやって」
「わかりましたわ。それでうずらちゃんは?」
「あたしは誰かがお店に忍び込んだって、騎士団に通報してくるわ」
「わかりましたわ」
「それから、クルたんがいないか探してくるわね。パールでの会話、クルたんには知らせておいた方がいいと思うの。それを梅ちゃんに言うかどうかは、クルたんに任せるわ」


お店の前でうずらちゃんと別れ、私は一度モグハに戻りました。
ぴよさんのモグに通信すると、ぴよさんはウィンダスへ行こうとしていた所だったようです。
もちろん、サンちゃん捜索をお手伝いしてくださるために。
私がランコントルへ来てほしいことを伝えると、すぐに行くとおっしゃってくださいました。
場所はわかっているので、お店へ直接来てくださるとのことです。
そしてクルクさんのモグに連絡をして、もしクルクさんが戻ったら、お店に来てくださるように伝言をお願いいたしました。
それから私も、お店へ戻るためにモグハを出たのです。

ぴよさんは私より先にお店の前に着いていらっしゃいました。
私たちはお店に入ってうずらちゃんを待っていましたが、なかなか戻って来ません。
クルクさんを探しているのかもしれません。

「アネキが俺を呼んだ理由って?」

ぴよさんからそう尋ねられましたが、私はうずらちゃんが何のためにぴよさんを呼んだのかは聞いていませんでしたの。
ですのでそう説明してから、誰かがお店に侵入した形跡があるということをお伝えしました。

「空き巣?」
「盗られたものは、何もなかったんですけれど・・・」

私はお店の裏口が開いていたことや、棚の中や引き出しの中が乱れていたことを告げました。
ぴよさんは 「ふぅん・・・」 と言ってお店の中をグルリと見回してから、裏口へと向かいました。
私はランプを持って、ついて行きました。

ぴよさんは裏口のドアを開け、私からランプを受け取ると、ドアノブや鍵穴を調べていました。
そして 「素人ではないけどプロでもない・・・かな」 とおっしゃったのです。

「それはどういうことですの?」
「わずかですけど、新しいキズが付いているんです。おそらく、鍵開けの知識はあっても、やったことがないのか、もしくは得意ではないか。ここの鍵は、わりと単純な構造になってるから、取り替えた方いいと思いますよ」
「まぁ! ぴよさんは、鍵屋さんをされていましたの?」
「・・・ハハハ・・・。それで、なくなったものは、何もないんですね?」
「えぇ。希少で高価なお酒もありますのに、手つかずのままですわ」

お店の中に戻り、ぴよさんは 「でも、棚の中が乱れていた・・・」 と呟きました。

「何者かが忍び込んだのは、店が終わってから夜明けまでの間ってとこかな」
「昨日はうずらちゃんの体調が良くなくて、お店はお休みでしたの」
「へぇ、アネキが体調悪いなんて珍しい。でも、店が休みになったっていうのは、急に決まったことでしょう? 」
「えぇ、そうですわ」
「金目当ての、行きずりの犯行ではないとしたら・・・。この店に来たことがあるヤツ・・・客か、前の持ち主の知り合いか・・・。何かを探してた? でも、棚をいじってるし・・・」

ぴよさんが考え込んでいらっしゃるので、私は何か飲み物を差し上げようかと思いましたの。
お酒以外の飲み物もありますから。
私が棚からグラスを取り出していると、ぴよさんが 「ちょっと待ってください」 と私を止めたのです。

「この店って、居ぬきで譲り受けたんですよね?」
「ええ、そうですわ」
「内装も、ほとんど変えてない」
「ええ」
「嫌がらせや、何かの警告をされたことはありませんか?」
「・・・いいえ、特にないと思いますわ。なぜですの?」
「もしも俺だったら、あ、いや・・・。例えば、この店で何かを探そうと思っていたとして、一番手っ取り早いのは、店の権利を奪うことです」
「自分の物にしてしまえば、好きに探せるからですわね」
「そうです」
「でも、権利書はここに置いていませんわ」
「ならば、営業停止にさせてしまえばいい」
「どうやってですの?」
「そうだなぁ・・・開いている酒瓶に毒でも仕込んでおけば簡単かな。何人もの死人が出たとなれば、経営者は捕まるだろうし、そんな事件があった店なら、買い手だってつきにくいだろうし」
「・・・どっ、毒!?」

怖ろしいことをサラリと言ってのけるぴよさんに、私は驚いてしまいました。
開封してある酒瓶は、何種類もありますわ。
もしも毒が入っていたとしても、気づかずにお客様にお出ししていたでしょう。
そんなことが本当に起こってしまったら・・・。

「あら、ぴよじゃない。来てたの」
「やっぴ~」

うずらちゃんとクルクさんが、一緒に裏口から入って来ました。

「うずらが呼んだんだろ」
「ぴよとチリちゃんのツーショットって、ちょっと珍しいね~」
「密室に二人っきり。そんなところをクマちゃんに見られたりしたら~、ふっふっふ」
「ヒトの幸せの邪魔ばっかりしてるから、いつまで経っても幸せになれないって、また梅兄に言われるぞ」
「うるっさいわね!」

途端に和やかになった場に、私はついて行けません。
オロオロと皆さんの顔を見ながら、「毒・・・毒が・・・」 と言っていると、クルクさんが 「ドク?」 と気付いてくださいました。
そしてぴよさんが、もう一度さっきと同じ説明をしてくださったのです。

「・・・毒ねぇ。アンタが考えることは、ホントえげつないわ」
「そりゃどうも」
「・・・えーっと、もし毒だとしたら、全部調べてもらわないと危ないじゃん」
「騎士団の人が明日来てくれるって言ってたから、このままにしておきましょう」
「それにしても、サンちゃんのことと店のことって、何か関係あるのか?」

ぴよさんがおっしゃったことは、私もずっと気になっておりました。

「うずらの話は、ぴよにはしたの?」
「いいえ、話したのはチリちゃんとクルたんだけよ」
「情報は多い方がいいから、ぴよにもしておいて。クルクはこれからウィンダスに行って、お店のことも含めて梅に話しておくね」
「わかったわ」
「なんかあったら、梅のモグハに連絡してね。もう遅いし、今はこれ以上出来ることがないから、みんな早く寝るんだよ~」

そうおっしゃると、クルクさんはその場から、デジョンで戻って行かれました。
移転間際に 「あ、ホームポイントバスだった」 という声が聞こえていました。

「クルたんてば、相変わらずねぇ」
「でも、いてくださるだけで心強いですわ」
「それで、うずらの話って何だ?」
「後で話すから、うちのモグハに来ない? 喉が渇いちゃったわ」

うっかりしておりましたが、うずらちゃんは夕べ、熱があったんですもの。
またぶり返しては大変ですわ。

そうして私たちは、うずらちゃんのモグハウスへと向かったのでした。



NEXT → * 「 Captivity 」 5.Lost Day's(2)




読んでいただいて、ありがとうございます。

ところで、SSの場所はどこだかわかりますか~?
南サンドリアのモグハです。
入り口から中を覗くと、二階建てのモグハが立ち並んでいるのが見えるのです。
地図で見ると、北と南と港のモグハの敷地が繋がってるのがわかるし、ちょっと面白いです。
ちなみに、他の2国もモグハの敷地は繋がっています。
ウィンなんか、4区の真ん中にモグハの敷地があるんだね。

・・・と、それはともかく・・・。

今回のお話は、細かく詰めすぎちゃった気がします。
っていうか、何でこんな書き方(進め方)にしたんだろう・・・( ̄_ ̄;)

次はモモンジーナ側からのお話になります。
サンちゃんの身に、何が起きたのか。
お店に忍び込んだのは誰なのか。
完結・・・は無理かな(^_^;)

サブタイトルの ombre(オンブル) は、「影」 や 「翳り」 という意味のフランス語です。
他にも意味はあるみたいだけどね。






いつも遊びに来てくれてありがちょん(・▽・)
ポチッと押してくれたら嬉しいな♪



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【2016/06/26 23:59】 | * クルク一家
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チリさん編
コウ
クルクさん、こんばんは〜。

チリさん編ですね。チリさんは、前回で体調を崩していたうずらさんのお見舞いに、うずらさんのモグハウスに行ったんですね。途中で新キャラ登場。ヴォルフィさんですかー。・・・違う、この人、元プリズ隊の人だ〜。モモンジーナさんと組んで、復讐する為に、クルク一家に近づいたのかな。因みに、ヴォルフィって名前、モーツァルトの愛称だそうですね。
それで、サンラーちゃんが行方不明で、店に行ってみると、侵入された形跡があると・・・うずらさんが、パールを付けてみると、サンラーちゃんは死んだ!
これは嘘っぽいですね。パールからの女性の声は、十中八九モモンジーナさんの気がしますが、人質にして一家をおびき出し→攻撃の方が良かったような・・・どうして死んだって言ったのかなあ。
それに、多分ヴォルフィさんが、ランコントルで探してたものってなんだろー。気になりますね。

次は、モモンジーナ編ですね。楽しみにしてます。
ところで、アルタナM進めてるんですが、「雪上の嵐:藍」がなかなかクリア出来ません。。これムズくないですか〜。クルクさんの記事も見てみよう。

それでは〜。

Re: チリさん編
クルク
コウさん、こんばんは~(・▽・)ノ

コメントありがとうございます!
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ですよね。
これね~、設定時の名前はヴァルフィだったんです。
それが打ち間違いで、全部ヴォルフィになってんですw
途中で読み直してても、全然気づきませんでしたww
で、更新前に気づいたんですけど、その時はヴォルフィの方がいいような気になって、そのままにしちゃった(^_^;
言わなきゃわかんないのに、つい言っちゃうww

モモンジーナは・・・っと、ここで言っちゃダメですよね(^_^;)

「雪上の嵐:藍」は、コレ大変でした!(>д<)
過去バスクエの「隠滅の炎」と並んで、2度とやりたくないです。
ルートを覚えて、無駄なく進む!としか言えませんw
保険でとんずらとパウダーブーツがあったらいいです。
クルクの記事、ちょっとでもヒントになったらいいな(*´▽`*)

それでは、次回モモンジーナ編、がんばって仕上げます★


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チリさん編
クルクさん、こんばんは〜。

チリさん編ですね。チリさんは、前回で体調を崩していたうずらさんのお見舞いに、うずらさんのモグハウスに行ったんですね。途中で新キャラ登場。ヴォルフィさんですかー。・・・違う、この人、元プリズ隊の人だ〜。モモンジーナさんと組んで、復讐する為に、クルク一家に近づいたのかな。因みに、ヴォルフィって名前、モーツァルトの愛称だそうですね。
それで、サンラーちゃんが行方不明で、店に行ってみると、侵入された形跡があると・・・うずらさんが、パールを付けてみると、サンラーちゃんは死んだ!
これは嘘っぽいですね。パールからの女性の声は、十中八九モモンジーナさんの気がしますが、人質にして一家をおびき出し→攻撃の方が良かったような・・・どうして死んだって言ったのかなあ。
それに、多分ヴォルフィさんが、ランコントルで探してたものってなんだろー。気になりますね。

次は、モモンジーナ編ですね。楽しみにしてます。
ところで、アルタナM進めてるんですが、「雪上の嵐:藍」がなかなかクリア出来ません。。これムズくないですか〜。クルクさんの記事も見てみよう。

それでは〜。
2016/06/27(Mon) 20:12 | URL  | コウ #-[ 編集]
Re: チリさん編
コウさん、こんばんは~(・▽・)ノ

コメントありがとうございます!
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ですよね。
これね~、設定時の名前はヴァルフィだったんです。
それが打ち間違いで、全部ヴォルフィになってんですw
途中で読み直してても、全然気づきませんでしたww
で、更新前に気づいたんですけど、その時はヴォルフィの方がいいような気になって、そのままにしちゃった(^_^;
言わなきゃわかんないのに、つい言っちゃうww

モモンジーナは・・・っと、ここで言っちゃダメですよね(^_^;)

「雪上の嵐:藍」は、コレ大変でした!(>д<)
過去バスクエの「隠滅の炎」と並んで、2度とやりたくないです。
ルートを覚えて、無駄なく進む!としか言えませんw
保険でとんずらとパウダーブーツがあったらいいです。
クルクの記事、ちょっとでもヒントになったらいいな(*´▽`*)

それでは、次回モモンジーナ編、がんばって仕上げます★
2016/06/27(Mon) 21:52 | URL  | クルク #-[ 編集]
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