2度目のヴァナディール ソロ活動中の妄想屋クルクと仲間達。
やっぴ~、クルクです(・▽・)ノ

「 Captivity 」 の3話目は、ロマンス担当wのうずらです。


* 「 Captivity 」 1.Lost Day's(1)
* 「 Captivity 」 2.パール




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こんにちは、うずらよ。

今日は朝から、何だか体が怠くてね。
ちょっと熱っぽいような感じもするの。
風邪でもひいたのかしら?
だからお店はお休みすることにして、あたしはベッドで寝ていたの。

ん? ・・・今、どこか遠くで、何かが聞こえたわ。
モグの通信かしら?
そう言えば、チリちゃんが後で来てくれるって言ってたわね。
だけど・・・そうじゃないわ・・・。

「・・・空耳かしら?」

あたしはしばらく考えて、そしてベッドから這い出した。
そんなはずないって思いながら、キャビネットの中にしまってあった、小さな宝箱を取り出した。
それは木で出来ていて、フタの表面に花の模様が彫られている。
あたしがサンドリアに来て、一番初めに買った物よ。
子供のお小遣いでも買えちゃうような物だけど、あたしはそれを自分の記念に買ったの。

ここにあることすら、久しく忘れていたわ。
中に入っている物は、見なくてもわかる。
少し躊躇ってから、あたしはフタを開けた。
やっぱり、思った通り・・・心が痛んだわ。
手に取ると、あの頃のトキメキと後悔が蘇ってしまった。

「ご主人さま、どうかしたクポ?」
寝室に顔を出したモグに、あたしは 「何でもないわ」 って答えたわ。
そう、何でもない。
なのに、どうしてこんなに苦しいの?

ついさっき抜け出したベッドが、とっても遠く感じるわ。
床の上に座ると、その冷たさが心地良かった。
あたしは握っていた手のひらをそっと開いて、もう一度呟いた。

「ただの空耳よ・・・」

それよりね、あたしはチリちゃんのことが心配なのよ。
気を逸らすために、あたしは別のことを考えた。

最近ね、毎日のように通って来てるエルヴァーンのお客さんがいてね、どうやらチリちゃん目当てみたいなの。
その人はまだ若いけど、感じのいい優しそうな男性よ。
あたしはずっと側にいて会話を聞いているわけじゃないけど、しつこく言い寄る風でもなく、ニコニコとしながらチリちゃんに話しかけているの。
でもチリちゃんは、その人が来る時間になると、ちょっと憂鬱そうなのね。
あたしね、「嫌なら嫌ってハッキリ言うのよ」 って、チリちゃんに言ったのよ。
お客さんだからって、そんなの遠慮することないわ。
実際にあたしは、しつこく誘って来たお客を 「二度と来るな!」 って追い返したことがあるもの。
まぁね、チリちゃんは優しくて真面目なコだからね。
断った時の、相手の気持ちとかを考えちゃうのかしら。
でも好意を受け入れられない人からのアプローチは、チリちゃんだって精神的に疲れちゃうわよね。

チリちゃんは梅ちゃんのこと好きって言ってるけど、あたしは最近ちょっと気にかかってることがあるのよ。
もしかしてチリちゃん、他に誰か好きな人がいるんじゃないかしら?
そう思う理由は、特にないわ。
ただ、何となくそう感じるだけ。
どう言えばわかるかしらね・・・。
ん~、そうねぇ・・・。
ふとした目の表情が、誰かを待ってるみたいな・・・でも諦めてもいるみたいな・・・?

あたしはウトウトしながら、考えていた。

あぁ、もしもそうだとしたら、それってとっても苦しいわね。
あたしたち親友だけど、本当の心って、他人にはなかなか見せられないものよ。
だけどね、チリちゃんには、あたしみたいになって欲しくないの。

「ステキな人と知り合いになったの」
「デートに誘われたわ」

だけど、自分で言っているほど、相手が誰でもいいわけじゃない。

「横顔が気に入らない」
「笑い方が好きじゃない」

そうじゃないわ。
あたしは、あの人じゃなくちゃ嫌なのよ。

諦める勇気があるなら、伝える勇気もあるはずだわ。
だけどあたしは、初めから諦めていた。
いいえ、逃げていたんだわ。
諦めることと、逃げることは違うもの。
あたしは自分が逃げているなんて、その時は思いもしていなかった。
ただ、そんな自分を誤魔化すために、何度も夢を語ったの。

「あたしはね、立派なお屋敷を持っている、お金持ちで身分のある貴族の男性と結婚するの。そのために、サンドリアに来たんですもの。それがあたしの夢なのよ」

嘘じゃないわ。
子供の頃から、ずっと夢見てきたことよ。

けれど、憧れだったサンドリアで暮らすようになっても、あたしはどこかコンプレックスを持っていた。
どんなに知り合いが増えても、綺麗に着飾ってみても、所詮はサンドリアとは無関係の、貧しい生まれのよそ者よ。
あたしには、身分を証明できるものが、何もないんですもの。
サンドリアで生まれ育った人は、きっとそんな物にこだわったりはしないんでしょうね。
だけど私は、確かな何かが欲しかったの。

いつだったかしら、あの人に、そう話したことがあるの。
そしたらね、あの人は嵌めていた指輪を外して、あたしにくれたのよ。
サンドリアの国章が刻まれた、あたしには大きいブカブカの指輪。
あの時は、あの人がどういうつもりだったかなんて、あたしにはわからなかった。
だけど、ただただ嬉しかったわ。
あぁ、そうだわ・・・それが、生まれて初めてもらった指輪だったのよ。
でもね、許嫁がいる人だもの。
いくら家同士が決めたことだと言ったって、嫉妬さえ出来ないほど、何をどうしたって、あたしでは敵わない相手。
あたしはきっと、傷つくのが怖かったんだわ。
だから、逃げたのよ。
本当は嬉しくて仕方ないのに、大きいって文句を言って返したの。
指輪なら、あたしのことを愛してくれている人が、あたしの指にぴったり合う、キレイな宝石が付いた指輪をプレゼントしてくれるから、だからいらないって。
あの人は笑っていたけど・・・。
それから暫くしてからだったかしら、あの人の弟と許嫁が恋仲だと知らされたのは。

あの人は二人のために、自分を消す計画を立てていた。
それから、あたしがサンドリアで暮らしていけるように、冒険者登録をしてくれていたの。
これであたしは、サンドリアに所属していることになる。
冒険者の手伝いをするだけでも、数ヶ月毎にある査定は通ると教えてくれたわ。
そして、あの人はサンドリアを去るとあたしに告げた。
あぁ、あたしは置いて行かれるんだって、そう思ったわ。
諦めなくちゃって、自分に言い聞かせようとしていたの。
本当に諦められるだけの勇気があったなら、もう1つの勇気だってあったはずよ。
そしたら今頃、あたしはどこにいたかしら・・・。
だけどあたしは、辛い気持ちを誤魔化すために、自分に夢を言い聞かせていた。
そんなこと、何の意味もなかったのに。

計画実行の前日に、あたしが返したサンドリアの国章が入った指輪を、あの人から手渡されたの。

「形見だ」
「縁起でもないこと言わないで。それに、宝石が付いていない指輪なんて、いらないって言ったじゃない」
「そう言うな。それから、これを・・・」
「なぁに?」
「もしも君に困ったことが起きたら、どこにいても駆け付けるよ」
「サンドリアに戻って来たら、見つかっちゃうじゃない」
「では、サンドリアではない場所で呼んでくれ」
「なによ、それ」
「・・・・・・」
「・・・ねぇ・・・メイヴェル様」
「ん?」
「・・・本当に、死んだりしたら嫌よ?」
「大丈夫だ」

どうしてあたしは、その場で指輪を嵌めてみなかったのかしら。
サンドリアではない場所で呼んでくれと言ったその言葉の意味を、どうしてわからなかったのかしら。
あの人がサンドリアからいなくなってから、あたしは指輪を嵌めて泣いたわ。
あたしの指に、ぴったりだったのよ。


あぁ・・・こんなこと思い出すなんて、きっと熱のせいね。
だから、空耳も聞こえたりしたんだわ。
夢だか現実だかわからなくて、何の音だか、わからなかったのよ。


小さな宝箱。
あたしの恋を封印した宝箱。
開けたのは、あの時以来だったわ。
入っていたのは、たった二つ。
サンドリアの国章が入った指輪と、今はあたしの手の中にある、シグナルパール。


「ねぇ・・・もしもあの時・・・あたしが泣いた時・・・これを鳴らしていたら・・・あなたは駆け付けてくれた?」
「すぐにでも」

その声も、空耳だったのかしら・・・。
夢の中で、あの人が微笑んでくれた。



NEXT → * 「 Captivity 」 4.ombre





読んでいただいて、ありがとうございます(・▽・)

元々「 Captivity 」 ってタイトルは、うずらのお話の時に使おうと思ってたのです。
生まれ、育ち、コンプレックス、夢、恋、時間・・・。
うずらが1番、様々なことにガッツリ捕らわれてるんじゃないかな。

二人共気持ちばかりで、あともう一歩相手に踏み込めていたら、もしかしたら、今頃アトルガン辺りにいたかもね。
お互い、自分に対する相手の心はわかっていたはず。
ちょっとしたタイミングと、ほんの少しのきっかけ。
それだけで、きっと何もかも変わっていたのかもしれないよね。

だけど、それもこれも、クルクに言わせたら、「結局、今でも好きなんでしょ? だったら、そう素直に言ったらいいのにさぁ~」 ってとこですw
で、うずらの味方をするなら、「遠回しに言われたって、そんなのわかんないよ! ついて来て欲しかったら、ハッキリ言え~!」 ってとこですねw
どっちも、この恋を終わらせてないんだもんね~。

サンちゃんがコールしちゃったシグナルパールが鳴って、うずらが空耳かと思って・・・。
次はチリちゃんです。






いつも遊びに来てくれてありがちょん(・▽・)
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【2016/06/17 23:59】 | * クルク一家
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うずらさんだったんですね
コウ
クルクさん、おはようございます。

おぉ。梅さんのパートナーって、うずらさんだったんですね。そうか、もともと付き合ってたんだから、当然と言えば、当然かぁ。
でも、今の梅さんと昔の梅さんが別人のようだ。
>「もしも君に困ったことが起きたら、どこにいても駆け付けるよ」
って、告白してるのと同じだと思うけどなぁ。それでも梅さんが貴族で許嫁が居たから、引け目を感じて、うずらさんは諦めちゃったんですねー。
何というか、もどかしいですね。確かにクルクさんが後書きで書いてるみたいに、ちょっと踏み込めば良かったですね。そしたらハッピーエンドなのにな。

次はチリさんのお話ですね。果たしてチリさんに言い寄るエルヴァーンの男性とは誰でしょう。話的に、梅さんの関係者ですよね〜。レイルさんって人かしらん。
ともあれ続きが楽しみです。

それでは〜。

Re: うずらさんだったんですね
クルク
コウさん、こんばんわ~ん(・▽・)ノ

コメント、ありがとうございます(*´▽`*)

今の梅は、責任とか背負うべきものがなくなってるから、変な人ってだけになってますねw
でも本質は変わってないと思います。
つまり、前から変な人w
うずらのことは、クルクの倉庫番になって近況もわかるようになったし、弟だけど妹が親友になって、お店も初めたし、とりあえず元気そうってことで、安心はしてるんじゃないでしょうか。
おかしな騒動は起こしてましたけどww
・・・考えると、ややこしい関係ですよね。
好き同士だったけど、別れたわけではなく、心を残したまま離れ離れになっちゃって、そのままだったら自然消滅だったのかもしれないけど、それがまた「仲間」として関わるようになって、お互い何となく気にしながら気にしてない風で・・・。
多分弱みも見せていただろう仲なので、言いたいことをずけずけ言えちゃう。
なのに、肝心なことは言えない~!
言ってしまえ!ヽ(`д´)ノ

チリちゃんのお話では、やっとモモのお話に繋がっていける・・・かな?
ところで、チリちゃんはアトルガンで人体改造済ですが、アトルガンの秘術的には、どの程度の改造なんでしょうね?
医術ではなく魔術なら、見た目だけじゃなく機能もって可能なのかしら?
チリちゃんの謎・・・。

では、続きがんばりま~す☆



紫香
以前に別の名前でコメントしたことがありましたが、どういう名前だったか忘れてしまいました。いろんな名前を使っていたので、すみません。

うずらさんは、密かにファンです。
私のフェローがうずらさんと同じフェイスタイプでした。
今までもしやと思っていましたが、やっぱり梅兄さんのことを引きずっていたのですね
これは辛い。
梅兄さんもうずらさんのことを、今でも好きっぽいですね。
2人はハッピーエンドにしてあげて欲しいです。

モモンジーナさんも辛いですね。
復讐したくなる気持ちはわかりますけど、復讐して気持ちはおさまるものでしょうか。
虚しくなってしまいそう。
これからどういう展開になっていくのか、楽しみにしています。

Re: 紫香さん
クルク
紫香さん、こんばんは~(・▽・)ノ

またコメントしてくださって、ありがとうございます♪

紫香さんのフェローは、うずらタイプだったのですね!
どんな子だったのでしょうか・・・。

うずらと梅のハッピーエンドですか?
そしたら・・・うずらはお店があるし、梅はサンドに帰れないし、モグハにはサンちゃんいるし、別居婚ですかw
あ、ジュノに新居を借りて、うずらはジュノからお店に通うっていう手もありますね。
二人はこの先、どうなることでしょう。

モモンジーナは、本当にそうですよね~。
復讐なんかしたら、闇に堕ちちゃう。

続き、頑張って書きますね(・▽・)ノ
また来てください☆



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この記事へのコメント
うずらさんだったんですね
クルクさん、おはようございます。

おぉ。梅さんのパートナーって、うずらさんだったんですね。そうか、もともと付き合ってたんだから、当然と言えば、当然かぁ。
でも、今の梅さんと昔の梅さんが別人のようだ。
>「もしも君に困ったことが起きたら、どこにいても駆け付けるよ」
って、告白してるのと同じだと思うけどなぁ。それでも梅さんが貴族で許嫁が居たから、引け目を感じて、うずらさんは諦めちゃったんですねー。
何というか、もどかしいですね。確かにクルクさんが後書きで書いてるみたいに、ちょっと踏み込めば良かったですね。そしたらハッピーエンドなのにな。

次はチリさんのお話ですね。果たしてチリさんに言い寄るエルヴァーンの男性とは誰でしょう。話的に、梅さんの関係者ですよね〜。レイルさんって人かしらん。
ともあれ続きが楽しみです。

それでは〜。
2016/06/19(Sun) 09:05 | URL  | コウ #-[ 編集]
Re: うずらさんだったんですね
コウさん、こんばんわ~ん(・▽・)ノ

コメント、ありがとうございます(*´▽`*)

今の梅は、責任とか背負うべきものがなくなってるから、変な人ってだけになってますねw
でも本質は変わってないと思います。
つまり、前から変な人w
うずらのことは、クルクの倉庫番になって近況もわかるようになったし、弟だけど妹が親友になって、お店も初めたし、とりあえず元気そうってことで、安心はしてるんじゃないでしょうか。
おかしな騒動は起こしてましたけどww
・・・考えると、ややこしい関係ですよね。
好き同士だったけど、別れたわけではなく、心を残したまま離れ離れになっちゃって、そのままだったら自然消滅だったのかもしれないけど、それがまた「仲間」として関わるようになって、お互い何となく気にしながら気にしてない風で・・・。
多分弱みも見せていただろう仲なので、言いたいことをずけずけ言えちゃう。
なのに、肝心なことは言えない~!
言ってしまえ!ヽ(`д´)ノ

チリちゃんのお話では、やっとモモのお話に繋がっていける・・・かな?
ところで、チリちゃんはアトルガンで人体改造済ですが、アトルガンの秘術的には、どの程度の改造なんでしょうね?
医術ではなく魔術なら、見た目だけじゃなく機能もって可能なのかしら?
チリちゃんの謎・・・。

では、続きがんばりま~す☆
2016/06/19(Sun) 19:42 | URL  | クルク #-[ 編集]
以前に別の名前でコメントしたことがありましたが、どういう名前だったか忘れてしまいました。いろんな名前を使っていたので、すみません。

うずらさんは、密かにファンです。
私のフェローがうずらさんと同じフェイスタイプでした。
今までもしやと思っていましたが、やっぱり梅兄さんのことを引きずっていたのですね
これは辛い。
梅兄さんもうずらさんのことを、今でも好きっぽいですね。
2人はハッピーエンドにしてあげて欲しいです。

モモンジーナさんも辛いですね。
復讐したくなる気持ちはわかりますけど、復讐して気持ちはおさまるものでしょうか。
虚しくなってしまいそう。
これからどういう展開になっていくのか、楽しみにしています。
2016/06/20(Mon) 12:54 | URL  | 紫香 #-[ 編集]
Re: 紫香さん
紫香さん、こんばんは~(・▽・)ノ

またコメントしてくださって、ありがとうございます♪

紫香さんのフェローは、うずらタイプだったのですね!
どんな子だったのでしょうか・・・。

うずらと梅のハッピーエンドですか?
そしたら・・・うずらはお店があるし、梅はサンドに帰れないし、モグハにはサンちゃんいるし、別居婚ですかw
あ、ジュノに新居を借りて、うずらはジュノからお店に通うっていう手もありますね。
二人はこの先、どうなることでしょう。

モモンジーナは、本当にそうですよね~。
復讐なんかしたら、闇に堕ちちゃう。

続き、頑張って書きますね(・▽・)ノ
また来てください☆

2016/06/20(Mon) 20:32 | URL  | クルク #-[ 編集]
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