2度目のヴァナディール ソロ活動中の妄想屋クルクと仲間達。
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やあ、バルファルだ。

ここはアトルガン、ナシュモの港が見える部屋だ。
倉庫だか事務所だかに使っていたらしい空き部屋を、オレは偽名を使って言い値で借りた。
何かあった時の万が一に備えて、そのくらいはしておいてもいいだろう。

アトルガンに着いて3日目、オレたちは一度モモさんのモグハにお邪魔して、それからナシュモに移った。
アトルガンの地理に疎かったウメさんが、ナシュモへは銀海航路を船で行くということを知らなかったために、港で散々ごねていた。
ウメさんが船に乗るのはどうしてもイヤだと言うので、クルクが後ろから殴って強制終了させて、船に乗せた。
もちろん、気を失っているウメさんを担いだのはモモさんだ。
「チクショウ、余計な体力使わせやがってッ!」
背負ったウメさんを引きずりながら、モモさんは悪態をついていたけれど、クルクが配ってくれたペアオレを飲みながら、甲板で海風に吹かれてボソッと言ったんだ。
「アンタたちといると、懐かしい気持ちになるよ」
それはきっと、騎士団時代のことを言っているんだろうな。
モモさんにとっては隊長だったウメさんがいて、気のおけない仲間たちがいて・・・。
オレはウメさんから、騎士団時代の話を聞いていた。
普段はそれほどしゃべらないウメさんだけど、決して無口なわけじゃない。
どこまで本気なのかわからない冗談も言うし、知りたいことは聞けば大抵答えてくれる。
それでオレが感じたことは、今回のアトルガン行きは、どちらかと言えばモモさんのことを心配しての決行だったのではないかということだった。

幸運なことにオレは、まだ仲間を失うという経験がない。
願わくば、一生そんな経験はしないで済ませたいって思ってる。
だからオレには、その傷がどれほどの痛みを伴うのか、想像することしか出来ない。
モモさんには、その傷と痛みに対しての 「復讐」 という前科がある。
裏切りと誤解。
例の事件でモモさんは、元同僚だったヴォルフィに復讐心を利用されて騙されてしまった。
オレにしてみれば、事件はモモさんを裏切った仲間の死で終わった。
けれどモモさんにとっては、それで収まるほど浅い傷ではなく、おそらく塞がらない傷を更にえぐられたに等しいだろう。
現にモモさんは、その後も調査を続けていて、その事件に繋がる者を探し出したのだから。
そのモモさんを、ウメさんが放っておけるはずもない。

クルクでさえ 、あまり口には出さないけれど、いくつかの別れを経験している。
そのクルクからオレは、いつになく真面目な頼まれごとをしたんだ。
「バル、クルクは誰にも悲しい思いをさせたくないよ」 って。
そう言った後、クルクは 「それはクルクが、悲しい思いをしたくないからなんだけどね」 と言った。
仲間の悲しみがクルクの悲しみになるのなら、オレはクルクが悲しまなくていいように、出来る最善を尽くすだけだ。

ナシュモの港に借りた部屋で、オレたちは準備をしていた。
モモさんの調べでは、ドゥッガージという名前のエルヴァーンの男が、過去に何度もヴォルフィの家を訪れていたらしい。
ドゥッガージはアルザビにあるゴゼー商会という貿易商に出入りをしているという。
ゴゼー商会では主に食料品を扱っているようだが、裏では武器の取り引きや人身売買もしているという噂があるらしい。
最近、それまで雇っていた用心棒が女と駆け落ちをしてしまったようで、腕の立つ用心棒を探しているという。
それを調べて来たのは、ウメさんが使っている情報屋だった。
しかも、なんとも仕事が早いことに、天晶堂の紹介状まで用意されていた。
初めはオレとモモさんが雇われるつもりだったけど、万が一の時にオレではモモさんを止められないだろうってことで、ウメさんに代わってもらったんだ。
それで、もしかしたらドゥッガージが二人の顔を知っているかもしれないから、念のために変装をすることになったんだけどな・・・。

「ねえ、すっごくスケベに見えるんだけど」
正面からウメさんを見ていたモモさんが、真面目な顔でそう言った。
「失敬な。だが、そう言うお前は、アッパラパーのノータリンにしか見えんな」
「んっだとぉ!?」
まずは髪型を変えようって、オレとクルクは二人の髪を魔法で結ったんだ。
ウメさんはジュノのモンブロー先生モドキみたいな感じになったんだけど、結えない部分の髪が顔にかかって、おまけに遮光眼鏡なんかかけたもんだから、胡散臭さプンプンだ。
そしてモモさんは、ツインテールだった。
「だって仕方ないじゃん。クルク、この髪型しか魔法出来ないもん」
モモさんのそれは、クルクのように下に垂れているわけでもなく、サンラーのようにお団子になっているわけでもない。
まるで、球根を落とす若木の芽の部分のように、頭の両側にピョロ~ンと2本揺れている。
「いいじゃん、ももんがはそういうキャラでいきなよ」
「どういうキャラだよ」
「おバカなキャラ。名前はねぇ、モモガーにしよう」
クルクの提案に、モモさんが首を横に振った。
「私のコードネームはジーナだ」
「ダメ、モモガー。そんでウメは、メルメルね。二人は兄妹なの」
「はぁ!? ヤダよ、そんな設定」
「断る」
調子に乗ったクルクに二人は否と拒むが、「夫婦設定よりはいいでしょ?」 と言われて頷いた。
武器も、エミネンスでもらって来たものを装備するという念の入れようだ。
モモさんは鎌ではなく、槍を選んでいた。

オレはナシュモにあるゴゼー商会の倉庫で、荷揚げの仕事をすることになっている。
力仕事にタルタルは向かないと断られるかと思ったけど、必要とされる場面もあるようで、二つ返事で採用された。
オレは持ち慣れない短剣だけを持ち、変装には帽子を被ることにした。
ウメさんみたいなタルタル好きでなければ、他種族が帽子を被ったタルタルの顔を見分けることは難しいと言われているからだ。
「バルの名前はねぇ」 とクルクが俺の設定を決めようとしたので、オレは 「名前はファルバル、金を貯めてカザムに行くって言ってある」 と伝えた。
クルクは 「ちぇ~」 と唇を尖らせた。
そのクルクは、アトルガンでは山猫の傭兵として顔バレしているので、あえてそのまま傭兵業をしてもらい、連絡係になってもらうことになっていた。
「クルクが一番大変だね~。ナシュモと白門行ったり来たりで、傭兵しながら連絡係」
「何言ってんだよ、移動はクリスタルで一瞬だろ。それに傭兵業ったって、半分はブラブラしてるだけなんだから、一番楽だろに」
「にゃにを~!」
「それよりクルクは、シグナルパールを装備しとけよ」
一番楽だなんてオレは言ったけど、クルクの連絡網が何より肝心なんだ。

オレたちは、ゴゼーとドゥッガージがヴォルフィーの一連の事件と関わりがあるという確かな証拠を掴むため、各自支度を整え終えた。
その様子を机に座って眺めていたクルクが、「それじゃ、パパッと終わらせて帰ろうね!」 と言って、机から飛び降りた。
そして、「ももんが、クルクが言ったこと覚えてる?」 とモモさんを仰ぎ見た。
「あぁ、覚えてるよ。無茶はしない、先走らない、抱え込まない。だろ」
「はい、よく出来ました。守ってね。それから、バル」
「んあ?」
「・・・には言うことないや」
なんだよ。
「ここを出た時から、モモガーとメルメルとファルバルだからね」
「それ、やっぱり変えないか?」
モモさんが最後の抗議をしたが、クルクに無言の却下をされた。
それからクルクは、ウメさんを見上げた。
「後はウメに任せるね。クルクはウメの指示に従うよ」
クルクはそう言って、オレの隣に一歩身を引いた。
ウメさんは小さく頷くと、オレたちを遮光眼鏡越しに一瞥した。
「では諸君、健闘を祈る」

クルクの後に続いて部屋から出る時、オレの後ろでモモさんが 「スケベ顔で言われてもなぁ~」 と呟いていた。






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【2017/09/24 23:59】 | * クルク一家
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