2度目のヴァナディール ソロ活動中の妄想屋クルクと仲間達。
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やあ、カボスだよ(・_・)

行方不明のフェンを探すため、ボク達はソロムグに散らばった。
探すって言っても普通の迷子じゃないからさ、手がかりを探さなくちゃならない。
そうだね、例えば、この前シュルツ先生を見つけた時のような陣とか。
つまり、明らかに人為的な何かを探せばいいんじゃないかな?
地面を見ながらウロウロしてたら、不自然に並べられた小石を見つけたよ。
ふぅん、これも陣の1つってわけ?
近付いたら、突然・・・。

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気付いたら、ボクは見知らぬ場所にいた。
さっきのアレは、ワープの仕掛け?

洞窟のような、薄暗くて広い空間。
サボテンとか草は生えているけど、ほとんどが岩ばかり。
そこに、ボク以外にも人がいた。
名前を呼ばれて、そいつがウルブレヒトだってわかった。
その側に倒れているのは、マーシュデュオ。
ただ倒れているわけじゃなく、彼はすでに死んでいた。

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ウルブレヒトも、あの陣でこの場所に転送されたのかな?
どうやらここは、ゴユの空洞って呼ばれている場所らしい。
アラゴーニュからサルタバルタの地下に存在している 、巨大空洞か。
ウルブレヒトは、一連の失踪した魔道士たちが行き着いた場所でもあるって言った。
どうしてそう言い切れるんだろう?
それを尋ねる前に、ウルブレヒトが底の見えない深い崖を指差して 「隠すには、もってこいの場所ってことなのさ」 って言ったんだ。
・・・そう言うことか。
でもボクは、あえて 「隠すって何を?」 って聞いてみた。
そしたら案の定、ウルブレヒトは出来の悪い弟弟子を小馬鹿にしたような半笑いの顔で、「失踪者の屍だよ。そう、君を含めた、な!」 と言って本性を現した。

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陣が仕掛けられていたのか、赤い鎖のようなものが体に巻きついてきて、ボクは拘束されてしまった。
不思議と恐怖も焦りもしなかったけど、その代わり興味が湧いた。
こういう人を見下して優越感に浸るようなヤツってさ、自分の知っていることや自分がやったことを他人に喋りたくて仕方ないんだよね。
だからボクは、黙っているだけで知りたいことを聞くことが出来たよ。

グリモアは、魔道士の血を吸わせることで、本来の力を発揮できる。
ウルブレヒトは獣人の魔道士たちの血で試したけど、うまくいかなかった。
その原因は、グリモアに書かれている魔文字を、獣人が理解していないから。
つなり、魔文字を理解できる人間の魔道士ならば・・・。
それに成功して味をしめたウルブレヒトは、次々に魔道士達を襲ってグリモアに血を吸わせていた。
遺体は、誰にも見つけることが出来ないこの場所、ゴユの空洞にある崖の下に捨てていたってわけか。
そして今、ボクを見つけて助けに来てくれる人はいない。
なぜならば、捜索にあたっていた他のメンバーはみな、すでに崖の下にいるから。

とんでもない殺人鬼だね。
でもまぁ、気持ちはわからないでもないよ。
研究や実験のためなら、ボクだって多少人道から外れたことでもやっちゃうからさ。
だけどさすがに殺人は、外道中の外道がやることだよね。
そんな外道の次の獲物が、このボクってわけ。
ところが、ウルブレヒトが短剣を振りかざした時、ボクを護る力がヤツをはじき返したんだ。

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この光や紋様の正体は、ボクにもわからない。
ボクが持っているグリモアの力なのか、それとも別の何かなのか・・・。

ウルブレヒトは、ボクを殺すのを諦めたみたいだ。
「真のグリモアの完成は間近だ」とか言って、逃げちゃった。
でも、気になることを言ってたね。
「そうすれば、あの人に近づける」 って。
あの人って言うのは、間違いなくシュルツ先生のことだろうね。

ふふん。
ウルブレヒトは、シュルツ先生に憧れちゃっているわけか。
彼のようになりたくて、彼の才能に嫉妬してる。
自分だってなれるはずだって自惚れていて、いつか彼を見下す立場になりたいって思ってるんだろうね。
バカなヤツ。

はぁ~あ、このこと、アーリーンに知らせなくっちゃいけないんだよね。
ちょっと憂鬱。
アーリーンのことだから、僕の言葉を信じないなんて頭から決めつけたりしないだろうけど。
ウルブレヒトが落として行った帽子を、証拠に持ち帰ることにしたよ。


エルディーム古墳に戻ると、すぐにアーリーンが何があったのか尋ねてきた。
ボクは事実だけをそのまま伝えたよ。

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アーリーンは、ウルブレヒトのことが好きだったのかな?
恋愛感情ではなくても、口も態度も悪いウルブレヒトのことを、嫌いではなかったよね。
それからきっと、何かの間違えなんじゃないかって、少しの希望を祈ってると思う。
とにかく、ゴユの空洞を捜索させるために、バスにいるアーデルハイトに連絡するって言ってた。

と、その時・・・。

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ナグモラーダと名乗る男が、連合参謀本部からやって来た。
魔道士失踪事件について、調べているのかな?
アーリーンはこれから本部に行みたい。
日を改めてまた来てって言って、ボクにスカラーブレーサーをくれたよ。

ナグモラーダか。
クルたんに教えてやろうっと!






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【2017/01/18 23:59】 | AF
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やあ、カボスだよ(・_・)

作戦会議にサンドリアまで行かなくちゃならないんだけど、前にも記述したように、過去世界でボクが行ったことのある場所は、ほとんどないんだ。
だから当然、サンドリアにも行ったことはないわけで。
東ロンフォにはジャグナーから入ることになるんだけど、グロウベルグを経由しなくちゃならない。
だけど今後のことを考えたら、移動手段を増やしておくためにも、多少の遠回りは気にするほどでもないよね。

さて、サンドリアに着くと、学者の制服を着た人達が集まっていた。
君たち、道端で作戦会議してるの?

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ウルブレヒトが、弟弟子の名前がわからないフリをするっていう地味なイジメをして見せていたけど、こっちは彼の性格の悪さは先刻ご承知だから、別になんとも思わないよ。

集まっていたのは、エルヴァーンのマーシュディオ、タルタルのナルクク、ヒュームのレーナとウルブレヒト。
フェン・ラクリフェルっていうミスラはまだ到着してないみたいだね。
っていうか、自己紹介くらいしなよ。
アーリーンから聞いてた名前で、見当はつけられるけどさ。

未だ現れないフェンはウィンダスから来るわけだけど、急遽代行として遣わされたボクよりも遅いってことに、不測の事態が起きんじゃないかってみんなは思い始めているみたい。
いなくなっているのは魔道士だけど、魔法を使うってことでは学者も同じだから、油断は出来ないよね。
ウルブレヒトは会議を中止して、まずはフェンの捜索をしようって。
ウィンダスからのルートをしらみつぶしに調べて、フェンの足取りを追うことになったよ。
ボクはひとまずこのことをアーリーンに報告して、それからソロムグで捜索に加わることになった。


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ボクの戻りが早かったから、アーリーンはすぐに何かあったんだって気付いたみたい。
フェンのことを話したら、アーリーンはボクと同じように、学者も気をつけなくちゃいけないって。
単独行動をしないように伝えて欲しいって言いながら、頭脳は優秀だけどみんな自信家だからって困ってた。
アーリーンはいい子だね。
ボクの心配までしてくれたよ。
ボクはまだ顔を知られていないから、他のみんなよりは安全だろうけど。

みんなとの合流地はソロムグ。
アーリーンが行き方を教えてくれたよ。
じゃ、ボクは行くけど、アーリーンも気をつけなよね。


ソロムグに行くと、みんなはフェンの足取りを追いながら警備をしている兵士に聞き込みをしているところだった。
そして、フェンがソロムグに入ったとこまでは、証言の確認が出来たらしい。

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サンドリアからここまでも、かなり詳しく調べてきたらしい。
だけど何の手がかりもなかったことから、フェンはこのソロムグ原野のどこかにいるだろうってみんなの意見が一致した。
そしてボク達は、手分けをしてフェンを探すことになったんだ。

・・・おっと、みんなに単独行動しないようにって、言うの忘れちゃった。
でも、いなくなった仲間を探すのに、手柄を独り占めだとか勝負だとか言ってる人たちだもんねぇ。
けどレーナは 「油断しないで」って言ってたし、そのくらいの警戒心は持ち合わせてるだろうからね。

それじゃ、ボクも探すとしようかね。


〔 続く 〕





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【2017/01/17 23:59】 | AF
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やあ、カボスだよ(・_・)

レベルが50になったからね、エルディームにいるアーリーンに会いに行ったよ。
ボクがレベルを言わなくても、アーリーンにはグリモアを見るだけで成長がわかるみたいだ。
それほどボクの成長が目を見張るものだったのか、「あなたを見込んでお願いがある」 って言われちゃった。
面倒なことはお断りなんだけど、色々と気になることもあるからね。

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話を聞いたら、また行方不明騒動?
ただし、ちょっと不可解な点が多いんだ。
いなくなっているのは魔道士ばかり、それも一人や二人じゃないんだって。
バス、サンド、ウィンの各軍から数十件の報告が上がって来ているらしいよ。
当初は脱走かと考えたらしいけど、あまりの数の多さと、失踪する理由が思い当たらない者たちがほとんどなんだって。
各国で調べてはいるようだけど、まだ情報を共有するほどのシステムが成り立っていないようで、同門の連絡網が発達している軍学者たちが主に動いているみたい。
各地から数名が捜査に当たっているようで、ボクには彼らの補佐をして欲しいんだって。

えーっと、バスの担当者はアーデルハイト・・・って、クルたんがメチャクチャ悪口言ってたやつかぁ。
サンドは、マーシュディオ。
ウィンは、フェン・ラクリフェル。
デルフラントは、レーナ。
アラゴーニュは、ナルクク。
で、ノルバレンからは、ウルブレヒトね。
ふぅん、ウィンからはミスラで、アラゴーニュがタルタルなんだね。
近いうちにサンドで捜査会議が開かれるようで、アーリーンの代理でボクが出席することになったよ。

ん~、この前さ、シュルツ先生が陣で姿を隠していたよね?
だから今回もさ、それなんじゃない?
ただし今回のは自主的じゃなくって、敵に陣を使えるヤツがいて、魔道士を捕らえて・・・あぁ、だったら殺しちゃった方が早いか。
それか、シュルツ先生が置いた陣にうっかり入り込んじゃって・・・って、そんな理屈が通用するかわからないし、各地で魔道士ばっかりっていうのも変だよね。
まぁとにかく、サンドに行ってみるよ。


〔 続く 〕






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【2017/01/16 23:59】 | AF
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1) * うずら旅に出る
2) * 幻の古酒を探しに
3) * 幻の古酒と幻の財宝

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こんにちは、うずらよ。

幻の財宝を探しに、あたしたちは流砂洞へ出発したわ。
メモに書いてあった 「ガルカの歴史」 が描かれている壁画の場所を、ハッキリと把握しているのは梅ちゃんだけだったの。
クルたんとバルちゃんも行ったことはあるって言うけど、どこだったか覚えていないんですって。
モモちゃんは、流砂洞には滅多に入らないって言うし、あとはクゾッツに初めて来たサンちゃんとあたし。
移動はもちろんチョコボを使うわ。
ルートを確認するために広げた地図に梅ちゃんが指さしたのは、地図の端っこ。
ラバオが右の上の方でしょ。
目的の流砂洞への入り口は、地図の左下。
メチャクチャ遠いじゃないよ!
頼みの梅ちゃんが暑いのはイヤだって言うから、あたしたちは日暮れとともにラバオを出発したの。

チョコボに乗ってるって言ってもね、砂の上って硬い地面と動きが違うのよね。
ラバオのチョコボだから砂の上は慣れてるんだろうけど、乗ってるこっちは慣れてないわけよ。
身体に力が入ってるせいか、肩がこるし、腰も痛くなってきちゃったわ。
どのくらい走ったかしら。
みんなから遅れがちになっていたあたしの元に、バルちゃんが引き返して来てくれた。

「大丈夫か?」
「ありがとう。気遣ってくれるのは、バルちゃんだけね」
「いや、遅すぎるから」

あらそう。
早くしろっていう催促だったわけね。

「ねぇ、そろそろ休憩しない?」
「出発したばっかじゃん。もう疲れたのか?」
「バルちゃんは疲れないの?」

クルたんとバルちゃんとサンちゃんは、ラバオに到着してすぐにまた出発したのよ。
モモちゃんだって、仕事から帰って来てすぐじゃない。
梅ちゃんはさんざん昼寝してたからいいけど、あたしだってラバオで情報収集してたんだから。
聞いたあたしにバルちゃんは、「別に」 って。

「それに、騎乗用として馴らされているチョコボは、誰も乗せていない時はチョコボ舎に戻るように調教されてるんだ。だから降りると、チョコボは勝手に帰っちゃうんだよ」
「そうなの?」
「クルクやオレは、梅さんもかな? チョコボを呼ぶ笛を持ってるけど、うずらさん持ってないだろ?」

つまり、目的地に到着するまで、降りて休憩は出来ないってわけね。
進んで行くと、地図を広げている梅ちゃんに、モモちゃんが方向を指差して何か話していた。
その側では、クルたんとサンちゃんがサボテンダーを追いかけていたわ。
梅ちゃんはあたしがみんなに追いついたのを見ると、地図をしまった。
あたしはフゥっと息を吐いてから、冷え始めた砂漠の空気を大きく吸った。
さ、お宝が待ってるわ!

一人で美味しいものしりとりをしていたクルたんが、「ふわふわした甘いやつ」 とか 「ピリッと辛くて美味しい何か」 って言い始めた頃、南西にある流砂洞の入り口に到着したわ。
やっとチョコボから降りられるのね!
お尻が痛いわ。
チョコボから降りても、すぐに休憩にはならなかった。
流砂洞に入って行くと、薄暗い地下空間が続いていた。
あたしはコロロカを通った時と同じ、あの息苦しさを感じたわ。
細長い通路を、クルたんは相変わらず鼻歌混じりにズンズン歩いて行くけど、気づけば両手に武器を握っていた。
それを見て、あたしは初めてここってそういう場所だったんだって緊張したわ。
みんなはそのまま進もうとしているから、あたしは思わず梅ちゃんの袖を掴んじゃった。
梅ちゃんは気づいてくれたのか、それでもあたしには何も言わずにみんなの足を止めてくれた。

「クルたん、止まれ。位置の確認をしておこう」
「梅さん、クルクに地図見せても無駄だぜ」
「なんだとー!」
「だって、右なのに左に行ったり、前に進むのに引き返したりするじゃんか」
「それはクルクのせいじゃないもん。地図が間違ってるんだよ」

クルたんとバルちゃんがいつものやり取りをしている横で、梅ちゃんは地図を取り出して地面に広げた。
あたし達は地図を囲んでその場に座った。
あぁ~、やっと休憩よ!
梅ちゃんが壁画の場所を説明したり、バルちゃんが重さで開く扉のことを話したり、クルたんがそんなのあったっけ? とか言ってる間、あたしは荷物の中からサンドリアティーを取り出した。
冷えたのをカバンに入れて来たんだけど、ぬるくなっちゃっていたわ。
みんなに配っていたら、「こういう気だけはきく」 ってモモちゃんに言われたわ。
「だけ」 ってどういうことかしら。

それでこの先進むにあたって、扉がどうとかアリがどうとか、そのへんのことは何だかよくわからないから聞いてなかったわ。
でね、スニークをかけて行くかって話になったの。
今ここにいるメンバーの中で、スニークが使えるのは梅ちゃんだけ。
クルたんは白魔道士の格好をしているけど、中身はモンクだもの。
どうしてサイレントオイルの一つも持っていないんだって梅ちゃんは文句を言っていたけど、だからそういうことは最初に言えっていうのよ。
そしたらクルたんが、「アリンコを全部やっつけちゃえばいいじゃん」 って言ったの。

「殲滅して進むってわけか。オレは別にそれでもいいけど」
「なら、サッサと掃除をして来るか」

モモちゃんが 「私も」 って言ったんだけど、サンちゃんとあたしの護衛で残ることになったわ。
跳ねるように立ち上がったクルたんが一番に飛び出して行くと、その後をバルちゃんが追いかけて行く。
梅ちゃんは腰に差している左右の剣を抜きながら、「お前たちは呼ぶまでここで待っていろ」 って言うと、二人の後を追って行った。
その姿が見えなくなると、モモちゃんはチッと舌打ちをした。

「私も暴れたかったのに」
「だってモモちゃん、流砂洞は詳しくないんでしょ?」
「地図を見たから、大体は把握出来ている」
「そういうもん?」
「それと、大将は一番に飛び出して行くべきじゃない」
「そういうの、クルたんには関係ないのよ」
「先に行くと怒られちゃいます」
「なら、私はヒマつぶしにカブト虫とでも遊んでるか」

立ち上がったモモちゃんが、通路の少し先にいたカブト虫の方へ歩いて行くから、あたしは 「手伝わないわよ」 って声をかけた。
するとモモちゃんは、背負っていた鎌に片手をかけながら、もう片方の手をヒラヒラと振った。

「手伝うと言われても断る。あんたに怪我でもされたら、隊長に何されるかわかったもんじゃないからね。手出しはするな」

と、その時、ポケットにしまっておいたシグナルパールが鳴り出したわ。
右耳に装着させて 「なに?」 と応えたら、「言い忘れたが」 って梅ちゃんの声が聞こえて来た。

「ヒマだからといって、カブト虫に手は出すなよ」
「・・・・・・」
「どうした?」
「たった今、モモちゃんが手を出したとこよ」
「放っておけ。サンラーにも、絶対に手を出させるな」
「はいはい」

通路の先を見ると、モモちゃんがカブト虫に鎌を振り下ろしているところだった。
カブト虫はモモちゃんの予想よりも遥かに硬かったみたい。
あたしとサンちゃんは、モモちゃんの奮闘ぶりを座って眺めながらおしゃべりすることにした。

「サンちゃん、修行は進んでいるの?」
「はい、頑張ってます」
「獣使いになるんだっけ? 獣使いって、どんなことをするの?」
「モンスターさんに仲間になってもらって、一緒に戦ってもらうんです」
「どうやって仲間にするの?」
「えっとですね、わたしは対象のモンスターさんに話しかけてみるんです」
「話しかけるの?」
「例えばですね・・・」

サンちゃんは立ち上がって、モモちゃんが戦っているカブト虫に向かって手を振りながら声をかけた。

「カブト虫さ~ん、わたしと一緒に戦いませんか~?・・・っていう感じです」
「へぇ~・・・へ?」

サンちゃんが再び腰を下ろそうとした時、モモちゃんと戦っていたカブト虫が、クルッとこっちを振り返ったの。
なんか、ぽわ~んとした感じで、フラフラ~っとこっちにやってくるわ。
モモちゃんが 「おい! 何をした!?」 って叫んでいる。
そしてサンちゃんは、顔を引きつらせながら、腰に携えている斧に手を伸ばしながら、ジリジリと後ずさりをしていた。

「あ、あれ・・・? おかしいですね、まだここのカブト虫さんに通じるレベルではないんですけど」

サンちゃんがそう言い終わらないうちに、カブト虫の様子が明らかに変わったの。
それはまるで、ハッと夢から覚めた時のように。
一瞬立ち止まったカブト虫が、突然こっちに向かって走って来たわ!
ヤバい、何か怒ってるみたい!

「キャー」 って悲鳴をあげて逃げるサンちゃんを庇うように、あたしはサンちゃんとカブト虫の間に飛び込んだ。
もちろん手には短剣を握り締めて。
ところがカブト虫は、あたしを無視してサンちゃんを追いかけて行こうとするの。
そうはさせるかと、あたしは短剣を振り下ろした。
けれども短剣は硬い翅に弾かれて、あたしの手首に痺れが走っただけだった。
そんな攻撃でも、カブト虫をイラっとさせるには十分だったみたいよ。
手首を押さえてカブト虫の硬さに文句を言おうとしたあたしは、走ってきたモモちゃんに飛び付かれて通路に転がった。
たった今あたしがいた場所に、カブト虫が前足を突き立てていた。

「何やってんの! サンラー、こっちに来い!」

斧を抱えたままこちらに走って来たサンちゃんとあたしを背に庇い、モモちゃんは立ち上がると鎌を構えた。
それから 「離れてな」 と言うと、カブト虫に攻撃を始めたの。
さっきまでは 「硬いなぁ」 とか言ってコツコツ叩いてたのに、モモちゃんは数回鎌を振っただけでカブト虫を倒してしまった。

「モモさん、ごめんなさい。まさかかかるとは思ってなくて」
「サンラーが無事だったならいいよ」

ペコリと謝るサンちゃんに、モモちゃんは 「怪我はなかったか?」 って優しいの。
なのにあたしには、「手出しはするなって言っただろう!」 って怒るのよ。
なによ!
こんなに早く倒せるなら、さっさと倒しちゃえばよかったじゃないの。
・・・遊んでないで。

その後すぐに、バルちゃんがあたし達を呼びに来たの。
ついて行くと、通路のどこにもアリの姿はなくて、あたし達はクルたんが開けてくれた扉の中に入って行った。
そんな感じに、あたしは最初のカブト虫以外にモンスターを見かけなかったわ。
二つ目の扉をクルたんが開けてくれて、次の間に続く扉をくぐったら、そこが壁画の通路だったの。

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通路の先の方でサソリを倒した梅ちゃんが、剣を収めながら戻って来た。

「この壁画に、ガルカの歴史が描かれている」
「とすると、この壁画を左に見ながら真っ直ぐに進んで行くと、突き当たりに太陽の紋章が彫られた扉があるのね」
「そんな扉はなかったぞ」
「え?」
「この先は穴が開いてるんだよ~」

クルたんが、通路の先を指差した。
そんなはずないわ!
あたしがそう言うと、クルたんはついておいでって通路を進み、そして 「ほらね」 とあたしを振り返った。

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穴はかなり大きく開いていたわ。
でも、通路は更に奥へと続いているように見える。
もしかして、あの向こう側に・・・?

「どうにかして穴の向こう側に行けないかしら?」
「飛び越えるのは無理だろうね~」
「じゃぁ、クルたんを放り投げるのは?」

タルタルだったら、梅ちゃんが放り投げれば、穴の向こう側に行けるんじゃない?
クルたんなら、万が一穴に落ちても大丈夫だろうし。

「やってみようよ!」

どうせ却下されると思ってたけど、クルたんがやる気になってくれたわ。
クルたんがやるって言ってるのに、やらないと言う梅ちゃんじゃない。
バルちゃんは 「大丈夫かぁ~?」 ってちょっと心配してるけど、止めはしなかった。
クルたんの手を掴んだ梅ちゃんが、振り子のように何度かクルたんを前後に振った後、「いくぞ」 って大きくクルたんを放り投げたの。
クルたんは 「ヤッホ~♪」 って楽しそうに叫びながら空中を舞い、クルクルっと回転をして向こう側へ着地を決めた。

「じゃ、ちょっと見て来るね」

クルたんはそう言って、奥の暗がりに姿を消した。
けど、すぐに戻って来たわ。

「なんにもないよ~。この先はすぐに行き止まりになってて、扉も模様もなんもナシ」
「そんなはずないわ。ちゃんと見て」
「見たよ~ぅ」
「バルちゃん、見て来て!」
「え、オレ!?」

気の進まないバルちゃんは、「ギャー!」 とか言う悲鳴を上げて空中を飛んで、ベシャっと向こう側に落ちた。
起き上がるとブツクサ言いながら奥に行き、やっぱりすぐに戻って来たわ。

「クルクの言う通りだよ。何もないぜ」
「ウソ! クルたんとグルになってるんじゃないでしょうね!?」
「だったら、自分で見てみろよ」

バルちゃんの言葉に、「それは無理だな」 って梅ちゃんが言った。
あたしも、それは無理って思ってる。
そうしたら、サンちゃんが 「わたしも向こう側に飛んでみたいです」 って目をキラキラさせながら言うじゃない。
そうね、サンちゃんだったらウソはつかないでしょうし、信用できるわ。
梅ちゃんが今まで以上に慎重にサンちゃんを放り投げると、サンちゃんは楽しそうに 「ブーン」 って言いながら向こう側に飛んで行ったわ。
そしてクルたんほどではなかったけど身軽に着地をして、梅ちゃんを安心させていた。
けれど、やっぱりサンちゃんもこの先には何もないって言うの。
なにか見落としはない?
仕掛けやカギ穴があったりしない?

「本当に、なにもないです」
「バルに乗っかって上の方も見たけど、何もないよ」
「信じろって」

もう一度見て来た3人がそう言うんだから・・・ないのかもしれないわね。
じゃぁこのメモって、ただの落書きだったの?

「サンラー、デジョンは出来るか?」
「お札とリングを持ってます」
「よし。ホームポイントはどこになっている?」
「ラバオに入った時に、登録しました」

梅ちゃんは、デジョンで戻ろうと思っているみたいだけど、あたしはどうするのかしら?
お札もリングも持ってないんだけど。
そう言ったら、また梅ちゃんにブツブツ文句を言われたわ。
だから何度も言ってるじゃない!
あたしは冒険者じゃないんだから、そんなの常識だって言われたって知ったこっちゃないのよ。

「わたしのお札を使ってください。・・・って、どうやって渡しましょう?」
「クルクが投げてあげる~」

クルたんはサンちゃんからお札を受け取ると、カバンから出したクリスタルをお札で包んだ。
そうして丸めると、それをこちら側に放り投げてくれた。
クシャクシャだけど、ちゃんと発動するわよね?
あたしだけ取り残されたりしないわよね?

「じゃぁさ、ラバオに戻ったら、みんなでゴハン食べようね~」

クルたんの言葉を合図に、あたしたちは一斉にラバオへとデジョンした。

ラバオへ戻ったあたしたちは、一度宿屋でシャワーを借りて砂を洗い流した後、宿屋の隣にある食堂に集まった。
結局、幻の古酒もお宝も、何も手に入れることは出来なかった。
ガッカリだし、何しに来たのよって気持ちにもなっちゃったわ。
ただ、暑くて乾燥したこの地で飲む、キンキンに冷えたエールは格別に美味しかったけどね。

「ねぇ~、あの穴って、いったい何なの?」

エールを2杯と、ラバオのウィスキーを3杯飲み干したあたしは、おかわりを注文した後ふと気になって訊ねたの。
そしたらクルたんから、とんでもない答えが返って来たのよ!

「地下だよ。流砂洞も地下だから、地下の地下だね。アハハ」
「・・・地下ですって?」
「サボテンダーがたくさんいてね、ずっと奥に行くと」
「クルたん」
「ん?」

クルたんの話を遮った梅ちゃんを見ると、わざとあたしを視界から外しているの。
その不自然極まりない態度と、クルたんが言いかけていた 「ずっと奥」 っていう言葉。
それって、地下にも通路があったのに黙ってたってことよね?
何で教えてくれなかったわけ?
降りられるのよね?
ってことは・・・ちょっと待って。
もしかして、あの穴があった場所に、壁があったかもしれないじゃない?
その壁には、太陽の紋章が描かれた扉が付いていたのかも。
つまり、穴の向こう側は、太陽の紋章の扉があった部屋だったんじゃないかしら?
それが、何かがあって、壁が床ごと壊されてしまったのよ。
そう、メモには部屋から下へ降りるって書いてあったもの。
つまり、つまり、あの穴を降りた所のどこかに、てっぺんに窪みがある大きな岩があったんじゃないの!?

「ちょっと梅ちゃん! どういうことよ!? 知ってたんじゃないの? 知ってて目の前でデジョンさせたのね!?」
「なんのことだ?」
「騙されないわよ! 手の届くところに、お宝があったっていうのに!」
「あるわけないだろう」
「地下があったじゃない! だったら宝の在処を示してくれる岩だってあったわよ!」
「ははは、酔ってるのか?」
「キィィィィィィィィィーッ!!!」
「キャーッ、うずらさん!」
「うずら、どうしたんだ?」
「おい、落ち着けって!」
「あーっ、こぼれちゃうー!」

それからのことは、覚えていないわ。
翌日、泉のほとりで二日酔いに頭を抱えたモモちゃんが、クルたんとバルちゃんはサンちゃんの修行の続きをしに行ったと教えてくれた。

「梅ちゃんは?」
「サイレントオイルを買いに行ってるよ」
「そんなもの、どうするの?」
「覚えてないの?」
「なにを?」
「夕べ、あんたの気が済むまで宝探しに付き合うって、隊長に約束させてたじゃないか」

・・・そうなの?
っていうか、あたし何やったの?
・・・お、思い出せないし、怖くて聞けないわ・・・。

「うずら」
「は、はいっ!」

振り向くと、不機嫌な顔をした梅ちゃんが、親指で後ろを指して 「行くぞ」 って。
え、えーっと、行くって、流砂洞へってことかしら?
あの、まだ陽が高いし、暑いから夜になってからでも、あたしは全然構わないんだけど。
っていうか、別に今日じゃなくって、また今度でも全然いいわけで、その・・・。
そ、そうだわ、モモちゃんも一緒に・・・。
モモちゃんを見ると、生気のない顔で、「いってらっしゃ~い」 と手をヒラヒラ振っている。
う・・・うぅ~・・・。

「今度こそ、お宝を見つけるわよ! 全くもう、二度手間じゃない。見つけるまで、戻らないからね!」

あたしは腰に手を当てて、レンタルチョコボの方へと歩き出した。
あたしの後ろで、梅ちゃんが 「はいはい」 ってため息をつくのが聞こえたわ。




---*---*---*---*---*---

とりあえず、これでお終い。
こんなに長くするつもりなかったし。
気になってたから、早く終わらせたかったんだww
てことで、お疲れ様でした(^_^;)







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【2017/01/15 23:59】 | * クルク一家
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この青さがたまらなく好き。

夜中にふらりと散歩したくなる。






いつも遊びに来てくれてありがちょん(・▽・)
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【2017/01/14 23:59】 | SS
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